サクラマス釣行記
サクラマス釣行記
2000サクラマス
平成12年3月28日、
『ホテルキャッスルフィッシングクラブ』会長の今野氏が65cm3・8kgと52cm1・5kgのサクラマスを釣ってきた。
彼ほどの上級者でも2年ぶりのうれしい釣果である。
初心者はもちろん、何匹か釣った事のある人が懸命に狙っても、その後何年も釣れない時があるサクラマス。川のコンディションと休日と運の全てが一致しなければヒットは望めない。しかし、釣れる予感と川のイメージが一致した時は、いとも簡単に釣れる時がある。この日は大ヒット、釣友で地元鶴岡の土田氏も何年ぶりかで54cm2・7kgの太った奴をで17gのスプーンでヒットしていたし、その他、河口から3段までの間で4本の計8本が上がった。そのほとんどがスプーンでのヒットで、やはり水温3〜6度と低い3月はミノーより安定して底を取れるので大物がヒットしやすいようだ。 
4月10日
4段でミノーで粘ったがダメであちこち移動したがやはり誰にもヒットしていない。今年当たっている河口に近づくほど海からの西風が強かったので、少し風が弱まる新川橋下流大山川合流点に入りフローティングミノーで攻めたが向かい風で飛距離が伸びず反応が無い、それでサイドからキャストすると低空飛行して最後にホップするような軌道で飛んで行くルアーマン701SF17g(銀赤)に赤いマラブー付フックをセットし下流に遠投し手前のかけ上りに沿って逆引きのステディリトリーブを繰り返していたらゴンと何かがヒットした。
赤いマラブーはナマズやニゴイにも非常に有効なため姿を見るまでは安心出来ないのだが、追合わせしながらロッドを立てて浮かしてみたら小型だが紛れも無いサクラマスがローリングしながら水面で暴れ始めた。逆引きなので跳ねないように気を付けながら時々ドラグ音が出る程強引に巻いていった。フィニッシュで少しジャンプして逃げ回ったが無事1〜2分でネットに収まった。3月6日のバラシ以来、久々のヒットの感触を味合わせてくれたのは48cm1・2kg(雄)のサクラマスで、小振りながら今年もボーズを免れたのが嬉しかった。    
今年は濁りが多くスプーンを使わざるを得ない状況を差し引いても、他の釣人のスプーンでのヒットを多数見せられた。これはプラグを使う人が増えた為スレていて新鮮さが無くなりプラグの優位性が崩れたからのような気がする。同じヒット率、同じ根掛り率なら現状ではプラグよりずっと安価なスプーンの方が経済的に優れている。私にとって昨年・1昨年は19回のヒット中(ランディングは10匹)、スプーンがたった1回だけでミノーが強い年だったため、今シーズンは徹底してミノープラグ中心で狙ってきたが、現在もう2桁を越すディープダイバーやミディアムディープタイプのミノープラグやバイブレーションプラグをロストしてしまってから後悔している。
過去にも1992年にフローティングミノーが大当たりで1993年はスプーンが強かった。
みんなが使えば、どのルアーでも魚は興味を失ってしまうと言う事に気付かず自分のロッドアクションになら食ってくると思い上がっていた。
 まだシーズン途中の赤川だが、今年は何年ぶりかの豊漁年といっても良い程、初心者やしばらくヒットが無かった人にも釣れている。それだけ魚が多い中での結果なので米代川などでもこの現象が起きないとも限らないのでルアーのタイプ別に熟練しているエキスパートには関係ないが、運で釣るタイプの私のようなサクラマスアングラーは、思い込みも大事だが適当なルアーローテーションがヒットに結び付く事が多い事を頭に入れて置いた方が結果に繋がるかもしれない。当然、あれもこれもとベストはまた重くなるが。

 とここで終わってはプラッギング派の人に申し訳ないので、なかなかイメージ通り釣れない人のために、普通の釣り方は周知の事として省略するが、3年前から試行して高確率でヒットしている効果的な釣り方がある。水温12度以上になるこれからが特に良い。ライズ(ジャンプ)があったらフローティングミノーで直撃するというものだ。ライズより上流に立ち、ライズ位置よりやや下流か沖側へキャストし、スローリーリングでライズ位置付近まで誘導したら止めてシェイキングし続けるとドスンとヒットする。流されて大きく位置がずれた時はキャストし直す、ライズ位置が変わったらキャストし直す、
といったライズを追いかけたモグラ叩きのような釣り方で結構ヒットしている。釣れない人にとっては魚がいるかどうかわからない所で半信半疑でキャストするのは水中をシミュレーションすることすら困難だが、いるのがわかっているライズを狙うのだからミノーを襲うサクラマスの姿を思い浮かべて釣ることができて不思議とヒットしてしまう。慣れて来たらライズが無くてもサクラマスの定位ポイントが予測出来れば同様にして釣れば良い。欠点はスレ掛りが多い事で、縄張り意識で威嚇のため体当たりしてくるからか、ミノーが動き過ぎて捕らえきれないからかは定かでは無いが、たとえバレが多くてもヒットしないよりはいい。浅場でのヒットや自分のポジションよりかなり下流でヒットした大物ほどバレ易い。これは魚のパワーに比べて唇や皮の強度が弱い為と思われる。肝心のミノープラグが壊れてバレた事すらある。
出来れば障害物が多く魚が掛っても取り込み難い場所ではキャストしない方が賢明なのだが、最近は足場が良く誰にでも入りやすく取り込みやすいポイントではスレていてなかなかヒットしない厳しい状況にあることもランディング率低下の原因になっている。ただし、スプーンではまったく反応しないどころかライズが止んでしまうので、この状況に限っては軽く着水音の小さいフローティングミノーの方がいい。

「振り返ってみると」
偶数年の赤川サクラマスは豊漁との予測通り2000年は60cmオーバーの大型が多く、数年振りの魚体を手にして喜んでいた人も多かった。私は12匹ヒット中10匹バラシてしまった。振り返ってみると、1999年の水量が総じて少なめで魚体も小型だったので引きが弱く、ライトなタックルで間に合った為、昨年も引き続き漫然と使用した事が良くなかった。しかも、2000年は2月までは降雪量が少なめだったのに3月にはいってから記録的に降り、4月中旬から5月の連休明けまでは前日と夜間気温の高い日の翌日は雪解け水で朝から釣りにならなかったほどで、7月まで充分な水量を保ち、流れに乗ったサクラマスの引きは半端では無く、4月まで5匹掛けてランディングしたのはルアーマン701の17gにヒットした48cmが1匹。

5月もバラシ続けたがタックルは変えなかった。    
 6月5日に荒瀬のポイントでクラブの仲間3人と並んで釣っていた時、メンバーの村田氏が1匹ラインブレイクでバラシた後で引き続いてヒットした53cmをランディング。少し時間を置いて私が65cmオーバーの大型サクラマスをテトラ上からのダウンストリームの逆引きでヒットさせたがバラシてしまった。
このままでは拙い、この魚だけは回収しなくてはと思い夕方まで粘っていたら福島の釣友の吉川氏も来て明朝もここで釣るという彼にヒットを託して赤川を後にした。
そのあと1週間の間、私の話をホラでは無いと信じた数人の仲間達がチャレンジしてくれて佐竹氏57cm1・7kgと今野氏57cm2・2kgはヒットしたが65cmオーバーのヒットは無かった為、話があやしくなってきた。 
そして、待ちに待った6月12日、「絶対釣って来るから。」と宣言し、遊びを一切捨て、パワーにはパワーで対抗するべくロッドはトラウトロッドとしてはオーバーパワー気味の『ウエダ』のスティンガーディープ8・2フィート、
『シマノ』ステラ4000のリールに新たに巻いたラインは硬くて根擦れに強い『エムズカンパニー』バスクエスト14ポンド、
ルアーは前年やはり65cmオーバーを掛けたがミディアムディープ9cmの特徴的なローリングスイベル付フックアイからフックがもげてバラシたのを思い出し、シンプルなフックアイの『ティムコ』ヴィクセン9cmのオリジナル6番フックを『がまかつ』トレブル12の4番フックに換え満を持してのリベンジに望んだ。
ポイントに着いたら先行者の車があり、釣りの準備をしていたので声を掛けると、私の目指すポイントとは違っていたので挨拶も早々に入川させてもらった。良く水面を見渡すと朝もやの中で予測通り5日にバラしたポイントの位置でライズまでは行かないが、もじりの後の様なリングが確認出来た。まずは逆引きのステディーリトリーブで様子を見たが反応無し、2投目でガチャガチャ強めにシェイキングしたところグーンと引っ張られる感じでヒット。
思い切り合わせたのと同時に魚は下流に走った、重量感から前回のサクラマスである事を確信したが、14ポンドなのでかなり強めにドラグ設定してあるにも拘らずラインが出て行き30m以上も下流のテトラに擦れる感触すら伝わってくる。私もテトラの上を飛び跳ねて、もうこれ以上は下がれない所まで来てしまったので一か八かの勝負時だと思い、何度も下流に走られたがタックルを信じ強引にポンピングを繰り返していたら、ようやく上流に向かって来た。
ヒットしてから寄せるまで10分以上もファイトしてラインは傷だらけでフックもグチャグチャに成りながらも何とかランディングできたサクラマスは68cm4・3kgと目測より少し大きかったので何とかホラとならずに済んだ。


『こちら4時間後』

 この経験により荒瀬のダウンストリーム逆引き釣法での効果的なファイトとランディングはこれまでの様にヒットしたらある程度まで弱らせるために魚が走ったらラインを出してやり止まったら巻くというセオリーに反して、下流に逃げる魚をロッドパワーで上流に向かせてドラグを滑らせながらでもラインを緩めず手を止めず強引に巻き続ける事だと思った。
荒瀬ではヒット後に必ず下流に向かうので、小型は取れても大型サクラマスではジャンプを防いでも寄せる隙が無くバラシが多かったがロッドを横に倒しジャンプを防いだまま上下では無く左右(横)のポンピングで寄せれば何とかランディングの確率がアップすると思う。   
シーズン別の赤川攻略法としては『1月〜3月』12〜20gのスプーンで流芯を避け緩い流れの底中心に攻める。
『3月中旬〜4月中旬』スプーンにバイブレーションやディープミノーを加える。意外に岸近くのかけ上りがヒットポイント。
『4月後半〜5月』各社のディープやミディアムディープタイプのヒット率が高い。瀬脇や瀬尻、トロ尻。
『6月〜』ミディアムディープタイプのフローティングミノーにシャローランニングタイプも加え積極的に荒瀬を狙えば必ずヒットするだろう。  
2001年、奇数年の赤川は残念ながら2000年より型も数も落ちると予想される。我々としては山形県の放流事業も順調なので予想が外れるよう願うが、昨年、釣友の鈴木氏が記録物を釣った鮭川は逆に奇数年が豊漁年らしいので期待している。
鮭川のような中小河川や渇水によるナーバスな時期の赤川で昨年好調だった釣り方があった。我がホテルキャッスルフィッシングクラブ会長の今野氏のアップストリーム釣法がそれで、昨年の鮭川で私が1匹バラした後、何度も逆引きで誘っても魚が出なくて諦めたポイントで直後に50cmのサクラマスを出したのにはまいってしまった。今年は私も彼の真似をして得意の逆引きと併用してアップとダウンで釣果倍増を密かに狙っている。






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