サクラマス釣行記
サクラマス釣行記
1999赤川サクラマス釣行記
ルアー・フライ・餌釣りのジャンルにかかわらず、サクラマスや大型トラウトなど中下流域の大型魚を狙う人が増えてきた。渓流を卒業し、毎年新たな魚が遡上してくる本流を目指す人が増えるのは上流の混雑解消のためにもいい傾向だ。太い糸を使っていても体ごと引っ張られるような、あのサクラマスのパワーを体験したら、40センチ以下の渓魚はパーマーク(幼魚紋)が示す様に降海型の子供みたいな物である。しかし、渓流で尺物を狙って数を競っているうちは理解できない人がほとんどなので、納得いくまで釣って悟った後の方がいい。小物には一切構わず、滅多に釣れない大物を狙ったり、キャッチ&リリースまで到達するのに要する時間は人それぞれ違うものだ。また、サクラマスを釣ると心に誓ったのに果たせず、コンスタントな釣果を得られる釣りに戻る人もいるが、毎釣行ボーズを馬鹿にされても諦めずに狙い続けた人にはほとんどヒットしているし、大きく美しいその魚を見ただけで、他の小物釣りと次元が違う事を分かってくれる。
 1999年の赤川は1月31日に初物57センチが釣れたらしいが2月も散発的にしか上がらず、3月の本番を迎えた。過去のデータでも前年が好調の次の年はあまりよくないようである。さらに、赤川のある山形県庄内地方は平年に比べて大雪で3月になっても吹雪いて寒い日が多かった。4〜5月は持ち直したので漁協への平成11年度登録総数は170匹程度と、なんとか平年並みだったが、総体的に小型が多かった。
[3月15日]
大好きな袖浦橋で私の初ヒットはシュガーディープ金赤9センチでヒットした47センチ2キロの太ったアメマスであった。
 [4月12日]
高速道下で60センチ級サクラマスをバラしてしまった。
[4月19日]
水量・水色とも今年1番の好条件で、今度こそと意気込んで新川橋下に立った。午前5時30分ハヤがボイルのように逃げ惑っていると思ったら20メートル程下流でドッボーン、と重々しい鯉のようなライズが始まった。すかさずライズリングの1メートル位下流へ目立つ金赤のミディアムディープをキャスト、シェイキングしながら波紋の真ん中で止めると一発でザバッときた。水面に渦巻きができたような巨大なローリングから4連続ジャンプで姿を現した魚は太い雄のサクラマスでヤッターと思いながらも捕れるか不安になる。魚は凄いスピードでジグザグを描きながら下流に走ったので少しドラグを締めたら急にハンドルが軽くなった。しまったバレたか、と思って急いでラインを巻き取ると何と上流に向かって来ていて私の目の前4〜5メートルでイルカのように空中で半回転ジャンプ、間違いなく70センチ級の超大物だ。そしてローリングやダッシュを繰り返した後で再びラインを引き出しグイグイ走る、まずいことにその先には川柳の水没したブッシュがあるため、止まらないドラグが不安になってきて、さらに締めた。やっとラインが止まったところで水面で暴れてから底の方で首を振っていたのを最後に感触が消え、戻ってきたミノーを見てやっとバレたのに気付き放心状態になっていたら目の前で大きくジャンプし気配が無くなった。振り返ってみるとこの時の魚は多分キングサーモンだと思う。この後、対岸の人に60センチ級がヒット。さらに釣友の松浦氏に59センチのフレッシュランがヒット。
  [5月3日]
前回の魚が頭から離れず、新川橋下で夜明けとともにキャストを始めたが、焦りが前に出過ぎさせたのか、右足を踏み外し首まで水に入り瀬頭から瀬尻の巻き込みまで200メートルぐらい流されてルアーケースで重いベストと背中のランディングネットの水圧とウエーダーで浮いてしまう足でロッドを持って泳ぐことの難しさを体験した。その後、気を取直して河口と高速道下で粘ったが駄目だったので三川橋上流に10時少し前に移動した。そこには先行者が3人いたが左岸側が1人だったので、その「鶴岡の後藤氏」にお願いして入れてもらうことが出来た。時間的にみて何人もチャレンジした後だろうなどと思いながら川に入る途中ライズを発見、このポイントで実績のある金黒カラーをセットし、3投目でうまくライズリングに的中したのでシェイキングを5〜6回したらググッと重くなりゆっくり2度合わせをしたところ30メートルぐらい下流で水面が割れサクラマスが躍り出た。待望のヒットだ。前回70センチ級で贅沢なシミュレーションをしていたので、冷静に対処することができて3〜4回走られたが5分程でランディングした。ヒットタイム10時ジャスト、3度目の正直で手にした魚は、62センチ3・4キロのグッドコンディションの雌のサクラマスだった。これで今年もボーズは免れた。


    [5月17日]
朝から暖かく今日も良さそうと思いながら河口から釣り上がったのだが田圃に水を引いて下流の水量が急激に落ちたためか誰にもヒットがない。最上流になる東橋までの途中、空いている所で何ヶ所かキャストしてみたが何の気配もなく12時になってしまった。昼食を取りながら、このピーカンではサクラマスもテトラや沈み石などの物陰にいるかもとひらめいた。櫛引地区にテトラが3個3角形に沈んでいるポイントをチェックしていたので、軽い気持ちで1投目、40センチ程の魚がミノーに絡んだが手応えだけでフッキングせず、戻ったルアーのフックにウロコが付いてきた。やはり狙い目だと確信した2投目で、テトラの頭をかすめた時ガバッとドライフライに出るように飛び出した。ファイト中に目の前まで寄せた時、右の目と頬にフッキングしているのを見たので無理はできないと判断しドラグを緩め指でブレーキを掛けながら15分程時間をかけて弱らせてからランディングしたがネットに入った途端2本ともフックが外れた。ドラグを締めたりランディングを急いだらバレていただろう。ここは朝から何人も入ったポイントなのにテトラ際を厳しく攻めた人はいなかったようだ。2匹目のサクラマスは58センチ2・7キロの雌だった。


[5月31日]
羽黒橋の荒瀬を逆引きしたら、流れを引き裂くようにサクラマスが水面に横から大きな頭を出してミノーを食わえた。そしてチーッとドラグを鳴らし一気に下流へ向かったので思い切り合わせてから、水面でヘッドシェイクしないようロッドを横にして逆転し続けるスプールに手を添えて引きに耐える。ランディングしようと寄せにはいった時、目の前まで来てサクラマスが水面に腹を出してターンした瞬間ボッと音がしてバレてしまった。何と戻ってきたレックスミディアムディープのベリー部分のフックが、特徴的なローリングスイベルごとちぎれていた。
[6月14日]
櫛引橋に着いたらスプーンをキャストしている先客がいたので、少し下流のテトラに移った。7日よりさらに20センチ程減水して渇水状態。テトラの周りを10センチ位のアユが群れで垢を食んでいる、まだアユ本来の体色とは違い、背中が黒く追い星も出ていない。そこで、銀黒のミノーをセットし、沈みテトラの前で1投目は棒引きして当たり無し、2投目でシェイキングしながら逆引きしたらミノーの真後ろからライズしてヒット。首振りをしながらテトラの中に入ろうとするが、今日は水勢が弱いので強引にポンピングしてランディング。今季3匹目のサクラマスは43センチ1・1キロの雄でミノーがすっぽり口の中に入っていたので2本のフックをはずすのが大変だった。
     [6月20日]
羽黒橋上流で35センチのヤマメがヒットした後、60センチ級のサクラマスが足下まで追って来て目の前でガブッとミノーを食って反転し、テトラの中に入って行きそうだった為、追い合わせを兼ねて引き戻そうとロッドをあおったら、また手も触れないでリリースしてしまった。
        [6月21日]
晴れで気温も高い。昨日のポイントへ行ったら先客がいたので、以前に魚影を確認していた黒川橋下流の荒瀬へ移ったら、何と1投目の逆引きに食ってきた。今季4匹目は、ヒットタイム5時10分、50センチ1・3キロの雄で随分引きがいいと思ったら背と鰓蓋にスレで掛っていた。その後、先客のいたポイントに戻ったら空いていたので1匹釣った余裕で人の後でも大丈夫だと、フローティングミノーをキャストしたところ5〜6投しても何の反応も無い、浅場はスレていると判断し、水色もやや暗かったので明るい銀色のミディアムディープでロッドティップを下げて少し深めを引いてみたらドンッと向こう合せでヒット!ここは底もテトラだらけなのでバレ覚悟でバシャバシャ水面でファイトするしか無い。フックの金具がまた取れないかと不安だったが、それ程大型ではないので1〜2分でランディング成功。今日2匹目で今季5匹目は、43センチ1・2キロ、この時期にしては太った雌だった。
 この後、雨で増水したりアユが始まったりして私のサクラマス釣行は終わった。赤川にこだわった今季は完全にフッキングしてヒットしたサクラマス9匹中ランディング5匹という結果で大型のバラシは悔やまれるが、ノーヒットの人が多かった1999年の赤川にしては良かった方だと思う。


その後、7月15日、クラブメンバーの村田氏が赤川支流梵字川にて53センチ1・4キロのサクラマスを深場から引き出した。アユをやらないメンバーはその後も狙い続け、外道のイワナについては水戸氏の50センチを筆頭に40〜47センチの大型が多数釣れ、イワナの当たり年だった。そして9月30日、やはり水戸氏が梵字川でシンキングミノーにより58センチ1・8キロのサクラマスをヒットさせて最終日を飾った。釣友の山崎氏のように不調の赤川をあきらめ好調の鮭川や小国川で着実な出会いを果たした人もいたが、赤川のサクラマスは1年おきに好調なので、偶数年の2000年は豊漁年の予定である。         
 



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