養成講座
大鮎攻略法


最上川の大鮎攻略法

私の大アユフィールドは盛夏の最上川で、大きく育つ年なら全長28〜29cm(体重300〜330g)までの型は、結構釣っている。私が本流の大アユに挑んだ当初は中硬竿は折れ、通常の太さの水中糸はプツプツ切れた。広い河原はいつも強風が吹き、長竿を持っているだけでもつらかった。『ゴンッ』という当たりだけで10号のハリが折れたり、ようやく引き寄せてツマミ糸に手が掛かっても最後のダッシュでハリが伸びたり折れたり身切れしたりした。








【タックル】
そこで、仕掛けを含めたタックルは、試行錯誤の末、現在、アユが24cm150gまでの時の
 竿は
 「がまかつ」引抜急瀬10mを使う。それ以上のサイズの時は「ダイワ」HZ葉月コロガシ9mを使ってどんなアユでもぶち抜いている。


仕掛けは
 タメが効くように、アユのサイズに応じて大型ほど長く竿尻からバカ(50cm〜100cm、九頭龍返しならバカが長くても何の問題も無い)を出す為、手尻調節用に天井糸を6mの長さで黄色ナイロン1・5号をカラマンリリアンで移動式にしている。急流での大鮎釣りは竿が伸されてしまうと、身切れやラインブレイク、最悪はロッドの破損に繋がります。鮎が大きくて重いから手尻は持ち上げ易く短く、なんてやっちゃったらタメが効かず下流に鮎を追いかけて何処までも移動する羽目になるだけです。やれば分かりますが、手尻が長いとかなり余裕が出来、竿を意識して立ててれば上手く掛り鮎が沖へ出てくれて、囮を引き摺って上に遡り、引き抜いて上流に落としたのと同じ状況になって糸をつかめば1歩も動かず寄せられる場合もあるぐらいです。
 オモリ使用時の水中糸はフロロカーボン0・8〜1号を6m、
 背バリ使用時はメタルやハイテクラインの0・25号〜0・36号。
 ハナカンは
 トロ瀬・深瀬なら各メーカーのワンタッチで不安無く取り込めるが、激流では掛り鮎が居ても囮が居なくなる事も時々ある為大鮎を引き抜くにはロック付きの「オーナー」プロフックハナカンが他社の物と比較してワイヤーが太く変形しにくく鼻がもげにくい。
←クリックして写真参照
私が最上川で使用しているのはオーナープロフック鼻カンLの9.4mm〜OWNER鼻カン大の13mmです。


通常はこれの穴を1.5号〜2号のラインに通し、前後を10回ずつ1.2号のナイロンで編み付けるだけです。
もう一つは極小の丸カンをラインに通しこれを編み付け、これに極小のスプリットリングを通し鼻カンの穴につなぐのです。
後のやり方は大鮎が入れ掛りで鼻カンが変形したりロック部分の爪が折れて使えなくなった時(意外にあるんです)に鼻カンだけすぐ交換できます。  
ハナカン回りとツマミ糸は
 通しで1・5〜2号60cm(そんな太いハナカン回りーと思うかもしれないが200g以上のアユ2匹に5号以上の錘になるとこれ以下では必ず粗相が起きます)にしハナカンをW編み付けで遊動にしアユのサイズに対応している。5号標準のオモリを挟むだけで無く引き抜いたり無茶しても取れないように360度回し付けしなければオモリが幾つあっても足りなくなるし、岩ズレも考慮し、オトリも大きいので60cmは必要です。
ハリスは
 逆バリ付自動ハリス止めに2重掛けにすればフロロカーボンなら1・5〜2号で充分だがナイロンだと切れる事がある。
 【ハリ】
 重要で「がまかつ」鮎キープ・大鮎・Gハードの各シリーズも使っているが、巨アユには大鮎スペシャル10号をメインに、強風対策用にマスバリ10号も良く使う。どちらも2〜3本チラシや3本イカリにする。大アユは身が厚く皮が硬いためハリ先間の狭い4本イカリはケラレや浅掛かり目掛かりが多い。3匹目ぐらいまではチラシで脊掛かりを確保する事をお勧めします。私は掛かりが遅くなるまでチラシでその後再び3本か4本イカリで総仕上げするとそのポイントのほとんどの大型縄張り鮎がいなくなります。それが職漁のポイント全滅釣り。
 ウエポンや極楽背バリは
 警戒心が強い日中に効果的だが、笹濁りや朝晩は完全にオモリのほうが強く、トロ瀬ですらオモリの方が掛かりの早い時が多かった為、オモリをメインに背バリをサブにしたほうが勝負は早い。

【ポイント】




最上川に共通するポイントとしては、
 7月から8月末までは
 激流やガンガン瀬中心に狙う、この時期チャラ瀬や瀬脇、浅いトロ瀬には最上川と言えど中小のアユしかいない。
 ある時、最上川に不慣れな人からポイントを教えてくれと言われ詳細に伝えたがあきれるほど小さいアユばかり釣ってきた。あんたが言うような大鮎はいないとぼやかれたが、聞くとチャラや瀞ばかり釣ってきたらしい。流芯近くにしか盛期の大鮎はいないことを忘れてはならない。
 9月に入ると
 水深1・5m位の深瀬にまとまって付き始め、200〜300gで26〜29cmの大鮎 70〜80匹釣る事も可能になる。
 9月中旬からは
 激流やガンガン瀬には見事に雄しか居なくなるので下流に流れの強い瀬が控えている瀬頭より上のトロ瀬が抱卵した雌の大アユの集合ポイントとなり私は何度も大当たりしている。

【取り込み】
 大アユの取り込みに限っては長い手尻を利用してタメてから下流に流し、 九頭竜返しで上流にソフトに落し、流れてくる糸を引き寄せる方がタモ受けするよりトラブル無く処理出来ると思う。尺物は大事に寄せたらいい。
「最後に!」
今回紹介した私のタックルや仕掛けは実際に、対(耐でもある)大物用として最上川の鮎が大きい年に試行錯誤の繰り返しで完成したので特に急流河川では絶対の自信があります。9メートルのコロガシ竿なら28cm×28cmも普通に抜けますので最上川でも鮎さえ居れば普通河川と釣果は変わりません。
 以前、「最上川で50匹以上はホラだろう。」と言う釣具屋で良く会う年配のベテラン釣り師が一緒に行こうと言うので行きましたが、その方も普通は引き抜くのですがその年の最上川では大きくて寄せてました。その日は終始引き寄せてかなり忙しく釣れてたようで終了後「俺は34匹釣ったけど貴方は?」と言うので、私は7リットルの引舟を3回空けたから60匹ぐらいかなーと言うと「全部空けて数えてみて!」と疑いたっぷりの真顔で言うのです。全て開けたら25cm〜28cmが73匹でした。25〜29cmの大アユを丸1日70〜80匹抜き続けられ、外道の40cmのニゴイも抜けるほどタフな仕掛けで、竿だけでも470gもあります。もし、体力に自信の無い人や短時間しか釣らない人は中硬硬250g程度の竿で仕掛けを細く(0・6号以下は無理だが)して時間をかけて引き寄せれば充分スリルが体験出来ます。私もアユの数が少ない年はもったいないから寄せて楽しむ時もあります。


『メタル』・『ナイロン』・『フロロ』


私の仕掛けは数々の失敗からここまで来ました。
普通の鮎釣り師に太い仕掛けの事を言っても無駄です、雑誌やメディアはこぞって極細のメタルやナイロン仕掛けばかり推奨してますから。多分、良く切れるようにでしょうね(笑)その方がメーカーが儲かりますから。

私も最初はもちろん数釣りに没頭し、 100匹釣る為に中硬竿で繊細な仕掛けを突き詰めた結果、100匹は何度か 達成しましたが、小さな鮎までカウントするような数釣りに飽きてしまいました。今はチビアユは致命傷以外は引き舟にも入れません。普段の釣りは競技会じゃないんだから見栄の為に強いて未熟なチビ鮎を釣る必要は無いと私は考えます。もちろんリリース禁止と規則を打ち出している漁協があるとしたらそれは守るしかないです。リリースして回復するのかとか冷水病にならないかと心配する方も居るようですが、永くこの釣りをしている人なら傷が治ってまた釣れて来る鮎のいかに多いかを分かってもらえると思います。大きく成長したらまた掛って楽しませてもらいましょう!助かりそうな鮎をリリースするのは私やみんながバラシて居る鈎が何処に掛ったか分からないで致命的かも知れない傷の付いたままオートリリースしている沢山のバレ鮎よりは選別しているので遥かにましです。  
同時にナイロンやフロロ、メタルも含めて細糸の限界や耐久性にも疑問を持ち、水中糸なんてもしかしたら大鮎ばかり狙い、錘で釣るなら、荒瀬では太くても素材が何でも同じと言う所に行き着きました。私は卒業しましたがトロ場は竿も糸も繊細にする必要がありますので、オールマイティーに釣るつもりなら竿と仕掛けは別の物を用意します。たまにトロ場の方が大きい鮎が居る場合があるからです。

その他はほとんど大鮎狙いで荒瀬や深瀬で通す釣りに終始しますから、私は余程、瀬が悪い時以外トロには入りません。落ちの頃だけトロから瀬に移行するリフルや深トロにメス鮎が集結しますが、その場合オトリ鮎が動かない方が追われ易いので太い仕掛けでも難なく釣れますから心配無いです。
錘は普通5号までですから、たとえば12号にするとすれば4+4+4とか5+5+2の様に組み合わせれば良いのです、錘の大きさは好みです。最上川ではベルトに錘ポーチを4つ付けています。

『メタル』ではなく『フロロ』なのは中小鮎のように重量負担のかからない釣りやノーマルやウエポン・極楽の時は私ももちろん『メタル』を使いますが2号より大きな錘を使う場合たとえ付ける場所が『フロロ』の鼻カン回りだとしても、何度も引き抜いているうちに 接合部分(編みつけ)に金属疲労が起きてあっけなく切れる時が多々ありました。
その部分に特別圧力が懸かるのでしょう。『フロロ』なら弱る前にそこだけカットしてその場で結び直せます。重いオモリを使うために『フロロ』なんです。

『フロロ』でも『ナイロン』でも標準直径0・165mmの規格で作られていますので太さは同じです。強度もさほど変わらない、メーカーにも寄りますが、同径なら新品の直線強度は『ナイロン』の方が空気中では強いかも知れません。強度と伸びを生かせる空中糸(天上糸)として目印的な意味で黄色い『ナイロン』を使ってショックアブソーバーにしています。
『ナイロン』は空気中では強度に優れていますが、水中で何度も伸び縮みを繰り返すと繊維疲労か表面加工が劣化するのか吸水の影響で極端に強度が落ちます。5〜12号の錘を負荷させたときのゴムのようなブヨブヨ感と、その伸びによる感度の悪さ、(前アタリが分かり難く、竿を伸され易い。)等散々使い比べた私なりの結論なのです。

と言う事で『フロロ』なのは吸水性が無いため水切れが良く、伸びが少なく感度が良い、対摩耗性に優れショックに強い、、『ナイロン』はゴムのように部分的に伸びて切れますが『フロロは』ささくれて来たら交換すれば良いので、目で見て交換時期が分かります。

ただし、鮎用の『フロロ』は0・8号までですので根ズレにも強いシーガーフォース・シーガーグランドマックスを使っています。
なんら『ナイロン』でも好みで使う方を否定するものではないんです。短時間ならどちらも同じで0・8号以上なら問題ないんですが、最上特有の根掛りやゴミ対策、さらにまる1日、強引な引き抜きをせざるを得ない時のために少し無理の利くように耐久性で『フロロ』の1号なんです。これだと諦めかけていた根掛りも結構取れます。





 
[ホームへ]
[最上川の大鮎友釣りへ]
[クロダイのルアーフィッシングへ]